特集 図説 胃と腸用語集2012
疾患〔腸〕
クラミジア直腸炎(Chlamydia trachomatis proctitis)
村野 実之
1
1むらのクリニック
キーワード:
folliculitis
Keyword:
folliculitis
pp.800
発行日 2012年5月24日
Published Date 2012/5/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113376
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クラミジア直腸炎は,性行為感染症(sexually transmitted disease;STD)の原因として最も頻度の高いChlamydia trachomatis(C. trachomatis)が直腸粘膜に感染して起こる直腸炎である.
C. trachomatisはLGV(lymphogranuloma venereum),trachoma,mouseの3つの血清型に分類される.血清型LGVは性病性(鼠径)リンパ節肉芽腫(lymphogranuloma venereum;LGV)の原因菌として知られ,LGV以外の血清型(non LGV;trachoma,mouse)は直腸炎以外に結膜炎を引き起こすが,性器クラミジア感染症の原因となり,男性では尿道炎,前立腺炎,副睾丸炎,女性では子宮頸管炎,卵管炎,骨盤腔炎,さらに肝周囲炎(Fitz Hugh Curtis syndrome)などが引き起こされる.1970年代以後,欧米の男性同性愛者を中心にnon LGVによる本疾患が報告されるようになり,本邦でも近年non LGVによる直腸炎の報告が散見されるようになった.現在,LGVの発生はほとんどみられず,STDとして蔓延しているのはnon LGV,特にtracomaであり,それにより引き起こされるクラミジア直腸炎が多数報告されている.
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