けんさアラカルト
民間病院の検査室から
宇津木 信克
1
1昭和病院検査研究室
pp.57
発行日 1987年1月1日
Published Date 1987/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203970
- 有料閲覧
- 文献概要
複雑多様化する医療問題は,患者側に限らず,われわれ医療技術提供側(病院)にとっても,重大な局面を迎えている.行政のたび重なる医療費抑制改革により,ここ5〜6年の間に医療業界は大きく様変わりをしている.病院における医療技術者の,特に臨床検査部の視点からその直面する問題を,私的病院の立場から考えてみたい.
わが国で病院の7割強を占める中小の民間病院は,大学病院や公的病院,および大型重装備病院以上にその運営に苦しんでおり,病院経営セミナーは全国的に花盛りである.が,セミナーに参加した病院経営者の一部には,ずさん経営,どんぶり勘定がいまだに横行しているところもある.なかには,経営用語の意味をも理解できない人物がいるのである.実業家と比して,元来の経営感覚の違いがあるのかもしれないが,院長,事務長と名がつけば己の事業能力を過信し,事業家気取りの錯覚をしている人物が出ても不思議ではない.その半面,人事管理をも含む企業戦略にたけている病院も当然出現し,病院業界はまさに戦国時代の真っただ中である.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.