主張
民間病院の連帯を!
O
pp.785
発行日 1997年9月1日
Published Date 1997/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902197
- 有料閲覧
- 文献概要
超高齢化社会に向けてのわが国社会保障の問題は,国民の大きな関心事となっている.老後の生活,老後の健康問題などへの不安は,消費税のアップもなんの抵抗もなく受け入れる結果となったが,果たして国民は納得しているのであろうか.一昨年以来の薬害エイズ問題,厚生官僚による不祥事は,今後展開される種々の政策も不信の目で監視されるであろう.国民的な不信感の払拭のためにも医療にかかわるすべての機関が連帯し行動を起こさなくてはならない時期にきていると思われる.
さて,超高齢化社会に向けて,介護保険法の導入,医療法の改正,医療保険制度改革などが論議されているが,今後の医療も地域の第一線で診療を提供している民間病院が中心とならざるを得ないであろう.これまで,民間病院は自由開業医制度の下に,社会ニーズの変革に適切に対応した運営を行ってきた.しかしながら,高齢化社会に伴う疾病構造の変化,また近年における社会保険診療報酬の改訂は,病院の機能分化を生じさせる結果となった.急性期医療を展開する病院,慢性期医療を展開する病院,在宅医療の展開,保健部門の展開と種々多様な地域の医療ニーズに対応しているが,今後の民間病院は確実に経営が維持できるのであろうか.おそらく地域における病院の護送船団的な経営の維持は,国民医療費の増高,また社会保険診療報酬上からも不可能であろう.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.