民間病院の経営と管理
これからの民間病院経営
穴沢 咊光
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1財団法人穴沢病院
pp.1047-1048
発行日 1981年12月1日
Published Date 1981/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207624
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ここ数か月間の医療界の動きは,数年前からかねて危惧されていたことが,いよいよ現実問題となって姿を現してきたものであり,極めて深刻に受け止めている.すなわち国民総生産というパイの成長は急激に鈍化し,それに伴って医療費という「パイの切り身」も急速には拡大しなくなった.一方,医療過剰時代を見越した病院間の設備投資競争は過当競争の傾向を示し始め,高度医療に必要な高額医療機器を購入設置できる大病院と,そうでない中小病院との間に医療の質的較差を生じつつあり,それが一部で言われている「患者の開業医ばなれと大病院集中」の大きな要因となりつつある.
中小病院の生きる途は,なんとか成長して大病院の仲間入りをするか,それとも慢性疾患中心の病院として生き延びるか,である.前者はよほどの好条件に恵まれた場合にのみ可能であり,後者も,十全会事件を契機として,患者の在院日数の短縮が当局によって打ち出され,これが今回の医療費改定にも反映しているので,容易ではなくなってきている.これに加え,目下厚生省が企てている医療法改正案にみられるように,官僚主導型の地域医療整備計画の根回しが着々進行しており,例えば,官設民営の特別養護老人ホーム,成人病センターなどのように民間病院と明らかに機能的に競合するような施設の設置計画が進められている.
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