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光輝く太陽への挑戦—女の太陽(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ部)—黒岩 重吾 著
古畑 勝則
1
1東京都立衛生研究所
pp.1369
発行日 1986年12月1日
Published Date 1986/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203936
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黒岩重吾,私は彼が作る作品をたびたび手にすることがある.それは,作家としての黒岩重吾よりも人間としての彼自身に非常に興味があるからである.二,三年前,私は初めて彼の作品に触れ,それ以後読み続けているが,全く飽きがこない.どちらかといえば短編志向の私だが,彼のものだけはどんなに長編であっても容易に読破することができる.
彼の作品には光と影を連想させる題名のものが多い.例えば,女の熱帯,女の宴,夜の挨拶,闇の航路など,書き出せばきりがない.作品の舞台は大阪,神戸など関西を中心に夜の都会が多く,株の話と女性とブランデーは必ずといってよいほど登場する.そしてこれらが彼の人生に裏付けられている点で大いに興味をそそる.
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