検査を築いた人びと
ミクロトームを改良して連続切片を作った ウィルヘルム・ヒス
深瀬 泰旦
1
1東京慈恵会医科大学医史学
pp.1372
発行日 1986年12月1日
Published Date 1986/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203939
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組織の顕微鏡標本を作るためには,試料を3〜50μmの厚さの薄片に切断しなければならない.試料はふつう,凍結するか,パラフィンやセロイジンなどに包埋して,ミクロトームを使って薄片を作るわけである.正しい手続きをふんで作った標本でなければ,正しい診断を下すことはできない.在来からのミクロトームに改良の手を加えて,組織学に応用する道を開いたのが,ヒスである.
ウィルヘルム・ヒスは,商人であり,控訴裁判所のメンバーでもあるエドゥアルト・ヒスの息子として,1831年7月9日にスイスのバーゼルで生まれた.ヒスという名を聞くと,われわれはすぐに心臓の刺激伝導系のヒス束を思い浮かべるが,これを発見したのは姓も名もまったく同じ,ヒスの息子ウィルヘルム・ヒス・ジュニアである.
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