和漢診療の実際・10
太陽病期の治療について
寺澤 捷年
1
1富山医科薬科大学附属病院和漢診療部
pp.1170-1173
発行日 1986年10月1日
Published Date 1986/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921546
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私のカゼ引き体験記
一昨年の秋のことである.中国の南陽市で“仲景学説討論集会”というシンポジウムが催された.後漢の時代(A.D.200年ごろ)に張仲景という名医がおり,“傷寒論”という医書を著したこの仲景の学説について日中両国で討論しようという会であった.
さて,シンポジウムも無事終了したので,帰りがけに洛陽を見物することになった.南陽から洛陽までは約400km,マイクロバスでの旅である.収穫の秋を迎えた田園の中をバスはひた走る.約1時間毎に農村の集落を通過する.真っ黒に日焼けした丸ハダカの幼児が,黒い子ブタとたわむれているなどまことにほほえましく,秋の日差しに黄金色に輝く農村はそのまま一幅の絵になるたたずまいである.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.