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喀痰の定量培養
渡辺 貴和雄
1
1長崎大学熱帯医学研究所臨床検査部門〔内科〕
pp.814-815
発行日 1986年6月1日
Published Date 1986/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203771
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喀痰の定量培養とは,一般細菌感染症における起炎菌の定量的観察を基に,その細菌の消長と臨床像をオーバーラップさせることにより,その意義と菌交代または化学療法効果を早期にとらえることを目的に独自に研究,開発された喀痰培養法である.すなわち,起炎菌決定法として,①喀痰の塗抹染色および1ループ培養,②喀痰洗浄法,③喀痰定量培養法,④喀痰の簡易定量培養法,⑤気管支局所採痰法,⑥気管穿刺吸引法,⑦病巣直達穿刺法,⑧血液培養法,⑨血中抗体および血中抗原検出法,の方法がある.我が国において松本は,気管支局所採痰法1),喀痰内細菌叢定量培養法2),炎症細胞診3)など,多年の研究を基盤にその喀疲が病巣由来の下気道分泌物であれば,①そこに含まれる起炎菌の菌量は多数存在し,しかも,②化学療法効果とよく相関することを確認した.爾来,我々は約20年来すべての喀痰を定量培養し,かつ炎症細胞診を併用することで呼吸器感染症における起炎菌推定の困難性を克服してきた.以下に喀痰定量培養法の術式を具体的に述べる.
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