今月の主題 悪性リンパ腫
巻頭言
悪性リンパ腫
池田 康夫
1
Yasuo IKEDA
1
1慶應義塾大学医学部内科
pp.355
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100817
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血液臨床に従事していて受ける印象として,近年,悪性リンパ腫をはじめとしたリンパ系腫瘍の発症頻度が増しているように思える.高齢化はその1つの要因であろうが,それ以外にどのような因子が関与しているかを推察し,検証していくために臨床疫学分野の充実が望まれるのだが,残念なことにわが国では“癌登録”でさえ,その必要性を万人が認めているにもかかわらずそのシステムができあがってない.もちろん,個々の腫瘍については,それぞれ学会を中心に登録が進んでいるところもあるが,会員にどの程度徹底しているのか?会員外の医師による診療の実態の把握など解決すべき点は少なくない.
血液学の領域では,わが国には69年の歴史を誇る日本血液学会と49年の歴史を持つ日本臨床血液学会がそれぞれに活動を続けてきたが,過去5年の議論を経て,2008年にこの2学会が統合し,新しい学会として再出発することが決定され,現在,組織の統一に向けた具体的な作業が進んでいるところである.2学会を統一する理念・目的については既に理事会・評議員会などにおける議論を通じて,意見の一致がみられているところであり,新しい学会の果たすべき使命・新規の事業への期待が高まっている.血液疾患の登録システムの立ち上げとその実施も,重要な事業の1つに位置づけられている.
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