形態学的検査と技術 血液と病理
病理
[2]腎の検査法
[B]免疫学的検査法
笠原 健弘
1
1順天堂大学医学部附属病院中央臨床検査室
pp.541-544
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203695
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はじめに
1951年,Iversen,Brumらによる経皮的腎生検の成功により,腎疾患の病理組織学的検査は急速な発展を遂げてきた.従来の光学顕微鏡や電子顕微鏡観察に加え,1961年Mellos,Ortegaらによる蛍光抗体法を用いた腎糸球体内の免疫グロブリン(以下,Igと略)の沈着証明は,その後腎糸球体疾患の研究に大きな影響を与えた.
今日,腎尿路系疾患の中で糸球体腎炎は,免疫学的機序が原因とされる代表的な疾患として知られている.中でもIgA腎症は,蛍光抗体法を用いてIgA沈着を証明することにより,初めて病理診断が確定する疾患である.このように,日常病理検査においても腎糸球体疾患の確定診断には,蛍光抗体法を含めた免疫組織化学検査が必要不可欠なものとなっている.ここでは腎生検組織を用いた免疫組織化学検査の手技を中心に,検体の取り扱いや注意点について解説する.
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