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AIDS予防のための熱処理第Ⅷ因子製剤
山中 學
1
1東大中検
pp.240-241
発行日 1986年3月1日
Published Date 1986/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203602
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血友病Aに対して最も合理的かつ確実で迅速に効果が得られる治療は,血液凝固第Ⅷ因子の補充である.そのために高純度で力価の高い第Ⅷ因子製剤が開発され,その有用性は高く評価されてきた.さらに1983年から我が国でも血友病患者への自己注射療法が認められるようになってからは,第Ⅷ因子製剤への需要はさらに高まってきている.
しかし,本製剤の輸注により,製剤に含まれている病原体,B型肝炎ウイルス,非A非B型肝炎ウイルス,サイトメガロウイルスなどの感染による発病が高率にみられ,さらに近年,後天性免疫不全症候群(acquired immune deficiency syndrome;AIDS.いわゆるエイズ)に罹患している供血者から得た血液を原料とした製剤の輸注を受けた血友病患者からAIDSの発症が米国その他から報告され,ついに我が国においても血友病からの発症が確認されるようになり,にわかに血友病患者とその治療をめぐって深刻な問題が持ち上がってきたのである.
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