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巨核球マーカーとしての第Ⅷ因子抗原検出
山中 學
1
1東大中検
pp.752
発行日 1982年8月1日
Published Date 1982/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202567
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血液凝固において血友病Aやvon Willebrand病と関連の深い第Ⅷ因子は,分子構造の上から一般に免疫学的に測定される抗原部位の第Ⅷ因子関連抗原(ⅧR:AG)が高分子量部分にあり,これにはリストセチンによる血小板凝集能に関与する生物的活性を持ち,低分子量部分には第Ⅷ因子凝固活性が存在すると考えられている.いうまでもなく血友病Aとは,低分子量部分の合成の先天的障害により,凝固活性の欠如あるいは著しく低下した異常第Ⅷ因子を持つものをいい,von Willebrand病は,第Ⅷ因子分子の合成欠陥により,血小板の粘着能やリストセチン凝集および第VIII因子凝固活注の低下を示す疾患とされている.
この第Ⅷ因子は,脾,肝,網内系,骨髄,腎,および内皮細胞で産生されるといわれているが,最近,骨髄巨核球で産生されることが明らかにされてきた.そしてその局在は免疫化学的手法で証明されている.すなわちパラフィン包埋骨髄について,間接的ペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ法によっている.これは4ミクロンの薄切標本を脱パラフィンした上脱水後に,プロテアーゼ含有リン酸緩衝液で処理し,さらに内因性ペルオキシダーゼ活性を0.1%過酸化水素アルコール溶液でブロックする.この標本に正常の羊血清,兎抗ヒト第VIII因子血清(市販品),羊抗兎ガンマグロブリンと兎複合性抗ペルオキシダーゼ・ペルオキシダーゼを加える.抗体添加ごとに3回リン酸緩衝液で洗った後,0.03%のジアミノベンジジンを色素原として加え,6分後にヘマトキシリンで染色する.陰性対照には正常の兎血清を兎抗ヒト第VIII因子血清のかわりに用いている.
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