病気のはなし
アルドステロン症
河野 剛
1
1京都大学第二内科
pp.120-126
発行日 1986年2月1日
Published Date 1986/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203564
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アルドステロン症とは,副腎皮質の最も外側にある球状層から分泌されるアルドステロンというホルモンが過剰に出るために起こる病気のことで,高アルドステロン症またはアルドステロン分泌過剰症とも呼ばれる.
アルドステロンは図1に示すように,腎の遠位尿細管のイオン交換部位に働いて,Na+の再吸収を促進し,これと交換にK+とH+の尿中への排泄を促進する作用をもつ.したがって,アルドステロンの分泌が過剰になると,体内にNaが貯留して高血圧ないし浮腫をもたらし,一方,Kが体外に喪失して,低K血症を起こす.細胞内から主要陽イオンであるK+が喪失すると,細胞の電気的中性を回復するために,代わりの陽イオンとして細胞外液中のNa+とH+が細胞内に移入させられる.この細胞外液から細胞内液へのH+の移動によって,図2に示すように細胞内アシドーシスと細胞外アルカローシスが起こり,動脈血のpHと動脈血漿HCO-3は上昇する.この代謝性アルカローシスは血清中のイオン化Caの減少をもたらし,テタニーの原因となる.
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