基礎実習講座
尿検査試験紙の管理と使用上の注意点
五十嵐 すみ子
1
,
福原 信介
1
1神奈川県予防医学協会検査第三部
pp.1069-1072
発行日 1985年12月1日
Published Date 1985/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203529
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尿検査試験紙法は簡便な検査法として広く用いられ,今や尿検査は試験紙法で行うもの,という概念が成立してしまっている観がある.しかし,尿検査試験紙(試験紙)を使用する場合に精度管理を実施していないことが多い.すべての臨床検査試薬,機器には常に完壁なものを求めるのは,現在のところは困難なことが多い.検査を担当する立場の者は常に細かい心配りをしながら,精密さ,正確さの保たれた成績を提出するために工夫,努力を重ねている.それが精度管理の手法であり,使用試薬,機器の状態を客観的にチェックして,異常変化がないことを確認しながら日常の検査業務を行っている.
試験紙は,その形態的特徴のために種々の制約を受け,各検査項目別に貼付してある試薬は互いに干渉し合うことがある.簡便でありながら注意深く使用しないと問題点が多い.また最近普及してきている反応を機械で読み取らせる方法は判定の再現性が良好といわれているが,試験紙がベースになっているので,肉眼比色と同様な問題がある.どんな機械でも使用年数がたってくれば故障箇所が出現し,我々の経験では,尿検体は血清検体より腐蝕性が高くトラブルの原因になるので,試験紙と機械の精度管理が必要になってくる.
ここでは肉眼判定用手法について筆者が日常的に実施している試験紙の精度管理法のみを紹介し,使用上の注意点を述べる.
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