検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
ヒト分泌型免疫グロブリンの機能
赤保内 良和
1
,
平根 敏光
1
1札幌医科大学第一内科
pp.895-899
発行日 1985年10月1日
Published Date 1985/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203464
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生体内の防御機構は,異物などの抗原の侵入に対して抗体である免疫グロブリン(IgG, IgM)やオプソニン作用をもつ補体などの体液性因子と,食細胞を主とする網内系およびリンパ球を中心とする免疫系を含む細胞性因子が密接に関連し,その機能を担っている.一方,消化管や気道など外界に接する粘膜では粘液や絨毛などの生理的な防御機構に加えて,IgA系が主体となって第一線防御の役割を演じていることが知られている.
IgAは血中ではIgGの4分の1と比較的少ない免疫グロブリンであるが,消化管や気道などの分泌液には主要な免疫グロブリンとして存在し,ウイルスや細菌などの感染に際しては多くの場合,血中抗体の出現よりいち早く粘膜面や分泌液中にIgA型抗体として現れ,局所免疫応答を通して感染防御の役目を果たしている1).すなわちIgA系を中心とする局所免疫応答は,脾臓やリンパ節で抗体産生が営まれる全身の免疫系応答とは独立した動きを示すことが特徴であり,分泌型免疫グロブリン,特に分泌型IgAがエフェクターとして重要な役割を演じている2).
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