検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
抗生物質の作用メカニズムと耐性獲得3—アミノ配糖体
西野 武志
1
1京都薬科大学微生物学
pp.971-976
発行日 1984年11月1日
Published Date 1984/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203180
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アミノ配糖体抗生物質は,テトラサイクリン,マクロライド,クロラムフェニコール系抗生物質と同様に,蛋白合成阻害作用を有する.これらの蛋白合成阻害剤の抗菌作用形式は主として静菌的な作用(bacteriostatic action)であるが,アミノ配糖体抗生物質は短時間内に非常に優れた殺菌作用(bactericidal action)を示す.したがってアミノ配糖体抗生物質は,いわゆる切れ味のよい抗生物質として,臨床的に使用されているが,第8脳神経障害や腎毒性などの副作用を有するために,第一次選択剤というよりは,むしろ第二次選択剤として使用されてきたように思われる.
近年,β-ラクタム抗生物質に耐性を示す日和見病原体による日和見感染が増加してきており,それに伴ってアミノ配糖体抗生物質の使用量も増加してきている.一方,これらの使用に伴いアミノ配糖体抗生物質に対する耐性菌も多く出現してきており,これらの耐性菌に有効な新しいアミノ配糖体抗生物質の開発も活発に行われている.
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