マスターしよう基本操作
PAP染色法,ABC染色法
森 茂郎
1
1東京大学医科学研究所病院検査部
pp.239-245
発行日 1984年3月1日
Published Date 1984/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202994
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PAP法,ABC法は,ともに免疫反応の組織切片への応用である免疫組織学的染色法のうちに入る手技であり,近年,病理形態学において広く用いられている.免疫組織学的手技は同定したい物質そのものを染め出すという点で従来の非特異的な染色と比べて優位な理論的根拠を持つものである.このカテゴリーに属する手技としてはPAP法,ABC法以外に従来からある酵素抗体直接法,間接法,ペルオキシダーゼ以外の酵素を用いる方法などもあるが,病理ルーチンとしてはPAP法かABC法がまず推奨される.反応が十分鋭敏で,フォルマリン固定パラフィン包埋切片の染色に応用がきくことがその理由である.PAP法とABC法の優劣はにわかに決め難いところであり,どちらを選んでも結果に大差はない.いずれにせよ,まず試み,その結果の反省をもとに次のステップに進むという態度があれば,これらの手技のマスターは決して困難なものではない.特に最近はこの両染色用のキットが発売されており,それらは良好な染色性を有すると同時に,繁雑な至適希釈度の決定の操作が不要であり,使いやすいものとなっている.手はじめにこれらのキットから慣れてゆくというのも一つの方法であろう.本稿ではフォルマリン固定切片および未固定切片にPAP法およびABC法を行うに際しての基本手技の説明を行った.本法の理論面およびいくつかのより複雑な手技などについては別の総説1)をご参照いただければ幸せである.
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