検査技師のためのME講座 検査機器の点検と管理の実際・1
脳波計—故障の見分け方を中心に
白井 康之
1
,
石山 陽事
2
1虎の門病院臨床生理検査部
2虎の門病院生理学科
pp.247-251
発行日 1984年3月1日
Published Date 1984/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202996
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脳波計の構造
脳の活動電位の変動を増幅して記録する装置が脳波計です.原理的には心電計と同じで,脳の活動電位は頭皮上などに装着された電極からその導出線(リード線)を通して電極箱に接続され,さらにそこから脳波計本体への信号として導かれます.脳波計の内部は,図に示すようなブロックに分けることができます.
まず,入力部に入った脳波の信号は電極選択器で各チャンネルごとに,任意の二つの電極からのものが選ばれます.そして各チャンネルごとに,その選ばれた信号を増幅部へ導きます.増幅部では最初に前置増幅器(プレ・アンプ)によって主に二つの信号間の電位差を増幅します.前置増幅器には交流雑音などの同相雑音を除くために,差動増幅器が使われています.また一般に前置増幅器には,低域の周波数特性を決める時定数回路,それに並列したインスト回路,高域の周波数特性を決めるフィルター回路などが含まれています.前置増幅器で増幅された信号は,やはり増幅部の中の主増幅器へ導かれます.この増幅器は時定数回路のない直流結合(DC結合)になっています.主増幅器は電流増幅を行い,ペン・ガルバノメーターを駆動させるのに必要な電力を記録部に供給します.記録部では増幅部から入力された電流に応じて,ペン・ガルバノメーターのペンを振らせます.このほかに,脳波計には入力部,増幅部,記録部に必要な電力を供給する電源部があります.
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