けんさアラカルト
尿中アスコルビン酸について
有馬 天児
1
1済生会八幡病院中央検査室
pp.1043
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202911
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最近,ビタミン健康法がブームとなり,スポーツドリンクやジュース類のほとんどにアスコルビン酸が含まれるようになった.しかし,これは尿検査においては困ったことである.ビタミンCと言われるアスコルビン酸は水溶性であり,速やかに尿中に移行して尿試験紙の糖や潜血部分などの反応を阻害してしまうからだ.当病院の外来患者のアスコルビン酸陽性率は20〜30%であり,特に小児の早朝尿には高率で陽性を示した.これはオレンジジュースなどのフルーツ類を小児が好むためかもしれない.
一方,内科や消化器など成人の陽性者は高濃度のアスコルビン酸を含むことがしばしばある.この原因としては,アスコルビン酸の粉末をドロップなどの形で取り入れているのではなかろうかと考えられる.そこで,このじゃまな尿中のアスコルビン酸除去法を考えてみた.アスコルビン酸は酸化を受けて分解しやすいので,尿を3〜5分ほど煮沸してみたところ10mg/dl以下の濃度に対してはほとんど分解されると思われるが,高濃度のアスコルビン酸においては不完全であり無意味であった.
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