くりにかるふぁーまころじー・3
アスコルビン酸
佐久 間昭
1
1東京医科歯科大学
pp.263
発行日 1981年3月1日
Published Date 1981/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922731
- 有料閲覧
- 文献概要
船乗りにとって壊血病は恐ろしかった.中胚葉性の硬組織,膠組織,血管壁が侵され,傷は癒えず,出血は続き,死にいたる.1535年,J.カルチェの探険隊103名中100名はニューファウンドランド島付近で壊血病となり,インディアンに教えられたツガの木の煎じ薬で死をまぬがれたという.
船医のJ.リンドは,今日,比較試験として知られる方法に準じて,1747年に抗壊血病効果を研究した.彼は12名の典型的な壊血病の船員を同じ船室に集め,同じ食事を与えたうえ,6組に分けて異なった“処方”の効果を比べた.リンゴ酒,海水,酢などの組は,はかばかしくなかったが,1日にオレンジ2個とレモン1個を与えられた組は1週間で仕事にもどることができた.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.