検査を築いた人びと
神経組織学の開拓者 サンチャゴ・ラモン・イ・カハール
酒井 シヅ
1
1順天堂大学医史学
pp.882
発行日 1983年10月1日
Published Date 1983/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202867
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1906年のストックホルム,ノーベル賞授与の会場には二人の神経解剖学者が同席した.その一人がゴルジであり,もう一人がカハールであった.二人の受賞理由は,神経組織の構造を明らかにしたことであった.二人は初対面であったが,互いに握手を求めようともしなかった.それはゴルジが神経組織は網状構造であると説なえるのに対して,カハールが細胞はすべて独立してシナップスで接合しているのだというニューロン説を立て,互いに自説を譲らなかったからである.結局,この論争は電子顕微鏡の登場でニューロン説に軍配が挙げられるが,それは二人の死後のことである.
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