検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
梅毒血清学的検査の進め方と解釈
水岡 慶二
1
1東京都立駒込病院臨床検査科
pp.797-801
発行日 1983年9月1日
Published Date 1983/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202846
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ペニシリンについで多種類の抗生物質が豊富に用いられるようになったためか,昭和20年代の終わりから昭和30年代にかけては,新鮮な顕症梅毒はほとんどみられなくなってしまった.しかし,昭和40年ごろを境として,再び新鮮な早期顕症梅毒の患者がみられるようになり,まもなく全国的に梅毒の小流行がおこった.それは昭和40年代前半のことで,その後はあまり目立った流行もなく,梅毒の流行もほんのひとときにすぎなかったようであるが,現在なお早期顕症梅毒の患者を散見するので,やはり感染源となる危険な早期の梅毒患者が潜在的にいることが推定される.したがって,梅毒の血清学的検査はいぜんとして,臨床検査として大切な項目の一つであるといえよう.
ところで,梅毒は性病であるがゆえに,社会通念上は忌わしき疾病とみなされ,またおそれられる疾患でもある.しかし,このような風潮は,どうも少し行きすぎの感がしてならない.梅毒血清反応が陽性というだけで,特別扱いされたと訴える患者がいかに多いことか.思うにこれは,梅毒血清反応陽性者をすべて危険な梅毒患者と考えることに起因しているようだ.
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