コーヒーブレイク
老人大国の解決法
I. S.
pp.414
発行日 1983年5月1日
Published Date 1983/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202756
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近年は「尖端技術の競争の時代」と云われまさに日進月歩である.特にバイオテクノロジー(生命工学)の分野はすさまじく,海の向うの話と思っていた試験管ベビーが日本でも成功したと云う.喜こんで良いのか,心配すべきなのかは別にしても驚かされる.この他制癌剤の開発,ヒト成長ホルモンやインスリンの合成,インターフェロンの量産化など遺伝子工学をはじめとして高度の技術革新により"夢の薬"がぞくぞく創り出されてきつつある.またこの分野への進出企業も多く,薬品メーカーはもちろん食品,肥料,繊維,石油化学といった会社が競い合っている.欧米先進国はもっと先に行っているのかも知れない.近い将来,癌をはじめ現在不治の病とされている多くの病気が治る日が来るものと思われる.そう長くは生きれぬと覚悟していた小生も生き延びるかも知れない,喜こばしいことである.
だが待てよ!今の状態でも日本は世界有数の長寿国で"老人"が大問題になりつつあるのに癌や成人病が克服されて,さらに平均寿命が延びるとどうゆうことになるか.家にいても職場でも,街を歩いていてもオジンとオバンばかり見ていることになる.これは少々ユウウツである.そこで政府ならずとも対策を考えておく必要がある.
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