連載 ヒトとモノからみる公衆衛生史・2
マスク大国となった日本・2—徐々に広がる理髪マスク—— 背景としてのペストと天皇即位礼
住田 朋久
1,2
1慶應義塾大学大学院社会学研究科
2国際日本文化研究センター
pp.693-696
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210091
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北海道札幌市の野外博物館「北海道開拓の村」の一角に、大正期の洋風建築、旧山本理髪店が移築・復元されている。理容遺産にも選定されたこの旧山本理髪店の中では、マスクを着けた理髪師による顔そりの様子が人形を用いて再現されている(図1)1)。
この山本理髪店は、明治末期の北海道・樺太を舞台にした漫画、『ゴールデンカムイ』(野田サトル、集英社、2014〜2022年)にも登場する。主要人物である土方歳三(ひじかたとしぞう)(戊辰戦争後も生き延びたという設定)、永倉新八、そして尾形百之助(ひゃくのすけ)が訪れた茨戸(ばらと)宿場町の「山本理髪店」では、店主の山本がこの町の抗争の構図を伝える(第6巻、第55話)。
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