けんさアラカルト
パラフィン包埋大型切片作製時の留意点について
前田 明
1
1東邦大学医学部病理学教室
pp.269
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202722
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疾患により病変分布やその広がりを見るため,あるいは展示などを目的として,ときに大型切片の作製を要請される場合がある.大型切片の薄切においては,とりわけメスが良く切れることが重要であるが,替刃メスの普及によりメス幅に収まる組織の大きさであれば,テトランダー型の大型ミクロトームによらなくとも通常使用されているユング型ミクロトームでも容易に薄切ができるようになった.大型切片作製の機会はそれ程多いとは思われないが,その際次のような点に留意すればよいと思われる.
1組織は脱水から包埋までの過程で収縮にともない歪みが生ずる.組織片が大きくなればその度合いも激しくなりやすく,薄切に際し,最大組織面を得ることが困難となるので,切り出しは厚め(7〜10mm)にするとよい.さらに脱水から包埋までに使用する容器もゆったりしたものを使用する.
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