検査ノート
大型パラフィン標本作製のための包埋法
山崎 美恵
1
,
高屋 豪瑩
1
1都立府中療育センター検査科
pp.68-69
発行日 1976年1月15日
Published Date 1976/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909247
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大型の標本を作る日的は,周知のごとく肉眼で見て病変の局在を容易に把握するためであり,またその部位の組織像をも把握できることである.しかし大型標本完成には大型のミクロトームが必要であるが,それ以上に問題となるのは,標本ができ上がるまでに現在大半の施設で行っている包埋までの過程および薄切作業,そしてスライド標本完成までに用いる機器具である.ただ目的に応じてはパラフィン,セロイジンあるいは凍結による方法でそれぞれ工夫をこらして作製されてはいるが,特に大型切片標本に対しては完成後の標本に様々な問題が残されている.なかでも,日常業務として大半がパラフィンを使用しているので,現在普遍化されているパラフィンによる大型切片を作る際,固定過程の一部を薄切時に薄切面を平均的に出すための前準備として多少の工夫を試みる必要がある.この点については従来の成書ではあまり指摘されてこなかった.そこで標本作製過程において時間短縮ができ,かつ美麗なる大型標本を作製する点について検討したので報告する.特に日常標本作製に苦慮している胃摘出標本,あるいは脳のように一度小さく切り出したら標示がない限りほとんど部位の決定が難しくなる大型切片について検討をした.
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