トピックス
同性愛男性のT細胞サブポピュレイーション
山中 學
1
1東大病院中検
pp.265-266
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202720
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過去2年間,米国では同性愛の男性(ゲイ)の間に,前例のないカポシ肉腫,ニューモシスチス・カリニ肺炎や他のいわゆるオポチュニステイックインフェクション(日和見感染)が発生した.これに対し,薬(ヤク)常用者にはそう多くない.これらの症例は,ニューヨーク市とカリフォルニアに集中していた.検査された19例では,全例が皮膚反応でアネルギーを示し,リンパ球のT細胞数の減少,リンパ球芽球化反応の障害がみられている.またT細胞サブセットの分布の変化もある例で報告されており,ちょうど,免疫抑制剤治療の際の副作用と類似の,後天性免疫不全の結果として,このような日和見感染やカポシ肉腫がみられるのだろうと考えられている.
ニューヨークのSt. Luke-Roosevelt病院のKornfeldらは,もしそれが本当とすれば,重い病気にかかるおそれのある人の数は,カポシ肉腫や日和見感染にかかった症例で示された数よりもっと多いのではないかと考えて,ゲイ新聞に広告したり,ゲイの健康相談所や大学のゲイ学生協会を通じて,81名の平均年齢35歳の同性愛の健康な男性を募集し,T細胞のサブタイプの分布を調査した.対照には,平均30歳の正常な(異性愛の)男子20名を選んだ.
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