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同性愛者への心理支援過程におけるセラピストの視点――性的指向の差異に対するポジショニングの質的検討
太齋 慧
1
1東京大学大学院教育学研究科
キーワード:
同性愛者
,
心理支援
,
マイクロアグレッション
,
ポジショニング理論
Keyword:
gay and lesbian people
,
psychological support
,
microaggression
,
the positioning theory
pp.737-748
発行日 2025年11月10日
Published Date 2025/11/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp25060737
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同性愛者への心理支援におけるマイクロアグレッションの条件となるセラピストの視点については未だ明らかではない。本研究では異性愛者であるセラピストが同性愛者への心理支援をどのように捉え,性的指向の差異に対して自己をどのようにポジショニングし支援を行うか明らかにする。セラピスト11名へのインタビューデータを,構築主義的グラウンデッド・セオリーを参照し分析した。その結果得られたカテゴリは,差異を意識する程度という認識の軸,差異への関与の程度という態度の軸により4つのポジションに分類された。「わからなさ・やりにくさ」と「共感的理解」との間でポジションを行き来しながら,「わからなさ・やりにくさ」に対処し支援を行う過程が描き出された。ポジションそれぞれが有する支援関係への肯定的/否定的機能が検討され,支援関係を損なうマイクロアグレッションが生じる条件,支援に資する関係性が生じる条件が考察された。

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