検査を築いた人びと
検眼鏡,角膜計を発明した ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ
酒井 シヅ
1
1順天堂大学
pp.356
発行日 1982年4月1日
Published Date 1982/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202482
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眼科学は19世紀以降飛躍的な発展をつづけているが,それがヘルムホルツの検眼鏡の発明に負うところが大きいことは万人が認めるところである.ヘルムホルツは眼科学のみならず,医学と物理学を結びつけ,20世紀における医学の飛躍的発展の基礎づけに重要な役割を果たした人である.
ヘルムホルツは1821年,ベルリンの郊外のポツダムに生まれた.父親はギムナジウムでギリシァ語を教えていた.父親の影響で少年時代からギリシァ語の詩を鑑賞し,将来はギリシァの古典を研究したいと思う日もあった.しかし,彼がいちばん得意としたのは数学で,将来物理学者になりたいと思っていたが,家庭の事情から,ベルリンの軍医養成所の給費生となって医学を学んだのである.しかし,在学中にここで19世紀の医学の巨匠ヨハネス・ミュラーの知遇を得ることができた.ミュラーは生理学,発生学の方面に多大な功績を残し,ロマン主義哲学に陶酔していたドイツ医学界を目覚めさせるのに大きな役割を果たした人である.ヘルムホルツは彼から深い感化を受けていた.
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