おかしな検査データ
腎人工透析後血清の異常高K値
筒井 高紀
1
,
筒井 文彦
1
1札幌逓信病院臨床検査科
pp.917-918
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202392
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当院に腎人工透析装置が導入された当初のころの出来事である.
ある朝,透析後の血清K値が異常高値を呈した,という報告を受けた.事情を聞いてみると,前日の午後に行われた透析で,安定状態にある透析患者ゆえ,術後の検査データの報告は明朝でもよいとのことで,今朝測定したところ,血清K値のみが12.8mEq/lという異常高値をとり,他の検査項目はNaをはじめ,いつもの透析後データに近い成績だという.なにはさておき主治医に事情を話して患者の一般状態を聞くと,透析直後も含めて現在まで特に変わりはないという.早速採血して電解質をはじめ関連検査を実施してみたが,とりたてて異常値はみられず,ひとまず安心した.こうなると,この12.8mEq/lなる血清異常高K値が誤りであろうことは容易に想像がつく.原因としては,①採血時のカリウム汚染,あるいは採血後の血液の取り扱いのミス,②検査室における血液処理のミスなどが考えられるが,採血時の様子を採血者自身に聞いてみても特に変わった点はなく,採血後も直ちに検査室に持参したという.そうなると,どうも原因は検査室側の公算が大となった.
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