トピックス
NMRによる病態検査
菅原 孝雄
1
1国立予研
pp.886
発行日 1981年11月1日
Published Date 1981/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202380
- 有料閲覧
- 文献概要
生体の病態変化を分子レベルで検査するには,従来は生体組織を摘出し,分離,精製して物質を純粋に取り出して生化学的に固定する方法が用いられてきた.しかし近年になって,NMR(核磁気共鳴)を用いることにより,生体を非破壊的に測定し,そこに存在する分子種を同定し,その量的変化や分子の運動状態を測定して病態を解析することが可能となった.
Damadianは1971年に,ラットのWalker肉腫やNovikoff肝癌の細胞について水素原子(1H)の緩和時間(T1)を測定し,癌細胞ではT1が2〜3倍長くなることを見い出した.その後多くの研究者により,ヒトの各種癌組織の水のプロトンのT1が増大することが確かめられ,癌診断に対するNMRの期待が大きくなってきている.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.