東西南北
臨床検査領域での固定化酵素の応用—プレポリマー法による固定化法
福井 三郎
1
1京都大学工学部
pp.946
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202168
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酵素の持つ厳しい基質選択性と鋭敏な反応性は共存物質中の特定の微量成分を定量するために極めて優れたものであり,酵素を用いる分析法の有用性が広く認識されるようになっている.しかしながら,1回の測定ごとに使い棄てにするには高価であり,また不安定で取り扱いにくいことが酵素法の難点である.
酵素の固定化は酵素の保存性ならびに使用時の安定性を改善し,熱や変性剤などに対する抵抗性を増大させるとともに,繰り返し使用,測定の連続化,自動化を可能にする.このような長所を持つ固定化酵素,さらに固定化微生物菌体,オルガネラ,動植物細胞を用いる分析法の医療診断,生化学工業プロセスの管理,廃液の監視などへの応用が急速に発展してきた.固定化法の開発により酵素は,目的に適した形態をとって定められた場所で触媒としての機能を果たすことができるようになったのであり,"試薬としての酵素"から"反応器としての酵素"へと酵素の応用面で画期的な変換が起こりつつあるわけである.
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