技術講座 細菌
嫌気性無芽胞グラム陽性菌の同定
渡辺 邦友
1
1岐阜大学嫌気性菌実験施設
pp.482-487
発行日 1980年6月1日
Published Date 1980/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202072
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嫌気性無芽胞グラム陽性菌には,Propionibacterium,Arachnia,Bifidobacterium,Lactobacillus,Actinomyces,Eubacteriumなどの杆菌とPeptococcus,Peptostreptococcusなどの球菌がある.いずれもその同定は難しいが,ここでは球菌については触れず,杆菌について解説したい.
嫌気性無芽胞グラム腸性杆菌は,歯肉溝,消化管,腟,皮膚の細菌叢の一部を構成している,また臨床材料からもしばしば分離される.Prévotは,この菌群を形態と生化学的性状を重視し,Eubacterium,Catenabacterium,Ramibacterium,Corynebacterium,Bifidobacterium,Actinobacterium,Cillobacteriumに分類したが,形態学的に非常によく似ているこれらの菌群を正しく同定することにはかなりの困難があったと思われる.しかしMoore,Holdemanらの研究により,今日では表1に示したごとく,代謝産物としての脂肪酸の違いによって整理・分類され,ガスクロマトグラフィー(Gas-liquid chromatography;GLC)という方法さえ用いれば,比較的簡単に,より客観的に属が同定されるようになっている1).言い換えれば,GLCによる代謝産物としての脂肪酸の分析を行わずして,これらの菌群の正確な属の決定はできないということにもなるのである.
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