技術講座 生化学
総コレステロールの定量法
向井 正彦
1
1神戸大学病院中央検査部
pp.304-308
発行日 1979年4月1日
Published Date 1979/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201820
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コレステロール(cholest-5 en-3 β-ol)は血清中では約70%が3位の水酸基がリノール酸やオレイン酸などの脂肪酸と結合したエステル型,約30%が遊離型であり,リポ蛋白として存在する.コレステロールの反応の多くは3位の水酸基,5,6位の二重結合あるいは7位の炭素に由来すると言われる.測定方法は歴史的には重量法,滴定法,比濁法,螢光光度法,紫外部吸収法などがあり,更に分離分析としての薄層クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーによる方法があるが,日常臨床検査としてはほとんど用いられず,日常検査法はもっぱら分光光度計による比色分析が行われている.
比色分析としてはLiebermann-Burchard1)による強酸によるコレステロールの呈色反応に基づく種々の化学反応と,Richmond2)によるコレステロールオキシダーゼを用いた方法に基づく酵素法とがある。最近では酵素作用の特異性,方法の簡便性,反応条件の緩和なこと,したがって自動分析への適用が比較的容易であること,更に作業環境や排水処理の問題点が少ないことなどの理由により,酵素法が化学反応をしのいで広く日常臨床検査に利用されている.
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