測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
ファージ型別の原理と応用
島田 俊雄
1
,
坂崎 利一
1
1国立予防衛生研究所細菌第1部
pp.293-297
発行日 1979年4月1日
Published Date 1979/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201818
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バクテリオファージ(あるいは単にファージ,または細菌ウイルス)は細菌を宿主とするウィルスで,いろいろな種類があり,ある範囲内で特定の菌株のみを溶菌する性質すなわち宿主特異性を持っている.バクテリオファージを用いて細菌を細分することをファージ型別という.分類学的には同じ種(species)あるいは同じ血清型(serovar)の菌でもバクテリオファージに対する感受性によってしばしばさらにこまかく区別されることがあり,このようなファージによる区分をファージ型(phagovar)という.たとえば,チフス菌はすべて単一の血清型で,生化学的性状や抗原性は全菌株に共通しているが,チフス菌に特有のファージを用いることによってそれらはさらに97種類もの型に細分することができる.
細菌をファージ型に分けること,すなわちファージ型は主として疫学の研究および調査の面で,その病原体の伝播経路と感染源を追求するために応用される.
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