測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
毛細管抵抗試験
田中 廣
1
,
高田 雅史
1
1群馬大学第3内科
pp.195-200
発行日 1979年3月1日
Published Date 1979/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201796
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出血とは,赤血球を含んだ血液成分が血管外に逸出する状態であるが1),出血が起こらぬように毛細管壁を維持する抵抗力が毛細管抵抗と考えることができる.出血は血管損傷や種々の原因による血管壁の病変に基づき,血管壁のインテグリティーが障害された状態である.止血は血管壁の示す反応であり直接相と間接相に区分されるが前者が主役で,血管壁の収縮と止血血栓の形成より成る.出血傾向とは止血機構の全身性の障害のために出血しやすく,いったん出血すると止血が困難な状態を指す8).したがって,出血の問題を考えるとき血管壁を除外することはできない.さて,血管機能の障害は古くから血小板が重要な役割を果たすと言われている血管脆弱性の増加と,血管壁の透過性亢進に区分されている.しかし,これらを厳密に区別することは実際上不可能なことが多い.これはそれぞれ対応する良い検査法のないためとも考えられる.血管機能障害の原因としては先天性の血管異常,血小板の機能障害,血小板数の減少,ビタミンCの欠乏などがあげられている.しかし出血と直結して血管機能を検査する方法は現在ないと言って過言でない.出血傾向のある場合,他の凝血学的検査と同時に毛細管抵抗を測定することが行われる.この検査は血管機能の一面を表現することは確かであるので,これによって得られる知見から血管障害と出血との間隙を埋めることは到底不可能であるとは言え,その方法を紹介し得られた成績の意義について考察したい.
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