技術講座 微生物
多剤耐性緑膿菌のメタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子型別およびインテグロン構造の解析方法
石井 良和
1
1東邦大学医学部微生物・感染症学講座
pp.921-928
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101021
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新しい知見
1991年に,プラスミドによって伝達されるメタロ-β-ラクタマーゼが緑膿菌から分離された.このメタロ-β-ラクタマーゼはモノバクタム系薬を除くすべてのβ-ラクタム系薬を分解する能力を有している.すなわち,メタロ-β-ラクタマーゼ産生緑膿菌には,緑膿菌感染症に対する治療薬として汎用されるカルバペネム系薬が無効となる.当該菌種が単にメタロ-β-ラクタマーゼのみを産生する菌株であれば,アミノ配糖体系薬やフルオロキノロン系薬といった別系統の薬剤を用いれば感染症の治療が可能である.しかし,メタロ-β-ラクタマーゼ産生遺伝子はインテグロンと呼ばれる遺伝子構造上に存在することが多い.インテグロンは複数の耐性遺伝子を集積する性質を有しており,メタロ-β-ラクタマーゼ産生緑膿菌はアミノ配糖体系薬に対しても同時に耐性を示す可能性が高い.最近,伝達性のキノロン耐性因子も報告されており,その遺伝子とインテグロンとの関連性も指摘されている.
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