測定法の基礎理論 なぜこうなるの?
薄層ゲル濾過法による血清タンパクの分離
青木 紀生
1
1社会保険中京病院臨床病理部
pp.572-575
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201419
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ゲル濾過法とは
担体ゲルが持っている分子ふるい効果(molecular sieve effect)を利用して,主に分子の大きさの違いから物質を分画しようとする方法がゲル濾過法(gel filtration)である.本法は別名分子ふるいクロマトグラフィーとも呼ばれ,大きくカラムクロマトグラフィーと薄層クロマトグラフィーに分けられる.カラムクロマトグラフィーは担体ゲルをカラムに充填し,試料を添加した後に緩衝液を滴下して溶出する方法であり,薄層クロマトグラフィーは薄層ゲル濾過法と同じことで,ガラス板上に担体ゲルの薄層を作りゲル平板を傾斜させ,緩衝液を流下しながら試料を展開する方法である.一般にカラムクロマトグラフィーは薄層クロマトグラフィーに比べ分離能に優れ,多量の試料を処理できることから,主として特定成分の分離精製を目的とした研究的用途に使用され,薄層クロマトグラフィーは微量な試料で,短時間のうちに分析できることから,血清や尿タンパクの定性的あるいは定量的な分析法として応用されている.
ゲル濾過法は1959年セファデックス(Sephadex)が紹介されて以来確立された分析方法で,担休ゲルとしてはセファデックスが最も広く用いられており,その他ポリアクリルアミドゲル,ポリビニルピロリドン,デンプン,寒天,アガロースなどがまれに用いられる.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.