分離分析の技術Ⅱ・12
薄層ゲル濾過法—(2)酵素結合性免疫グロブリンの同定
大竹 皓子
1
,
堀井 康司
1
,
加野 象次郎
1
Teruko OHTAKE
1
,
Koji HORII
1
,
Shojiro KANO
1
1慶応義塾大学病院中央臨床検査部臨床化学
pp.1628-1636
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912073
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はじめに
酵素結合性免疫グロブリンとは,血清中の酵素が免疫グロブリンと結合して高分子の形で存在しているものの総称である.1964年Wilding1)によって見いだされたマクロアミラーゼの例に端を発し,今日までにLDH,ALP (アルカリホスファターゼ),ALT,CK, AST, ACP (酸ホスファターゼ)などとの結合例が数多く報告されている.
酵素と結合している免疫グロブリンはLDHではIgA (κ)型やIgG (κ)型が多く,アミラーゼではIgA (λ)型,ALPではIgG (λ)型が多いというように,免疫グロブリンのクラスとタイプに偏りが認められている2).また,酵素との結合部位が免疫グロブリンのFab部分にあることから,血中免疫複合物と考えられている3).鋭敏な活性を持つ酵素と結合しているため,その検出は容易である.日常分析の中ではザイモグラムの異常パターン,すなわち通常のアイソザイム分画以外のところに酵素活性帯が現れることや,血中と尿中の酵素活性のクリアランスの矛盾,さらには疾患に対応しない酵素活性の異常高値などから見いだされることが多い.
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