技術講座 血液
赤血球の滲透圧脆弱性試験
相賀 静子
1
1国立病院医療センター臨床検査科
pp.514-517
発行日 1977年7月1日
Published Date 1977/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201401
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赤血球滲透圧脆(ぜい)弱性試験は古くから行われている検査法である.簡単なSanford法,比色定量を行うParpart法などがよく用いられる.これらは低張な塩化ナトリウム溶液中で赤血球を一定量,一定時間浮遊させ,破壊して溶血を起こすその度合いから,貧血の区別,病的状態を検査するものである.
塩化ナトリウム溶液中で赤血球が壊れ溶血を起こすのは,赤血球の内部より外部が低張なので,水分を内部に取り入れて赤血球が球形となり,更に水分を取り入れて膜が破れるためである.溶血性貧血の球状赤血球は赤血球厚径が増加してゴムまりのようになっているので,外部から水分を取り入れることができず,濃度の高い塩化ナトリウム溶液中で溶血を起こす.反対に低色素性貧血の赤血球の厚径は薄いので,球形になるまでには多量の水分を取り入れることができる.従って塩化ナトリウム溶液の濃度の低いほうで溶血を起こす.
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