Laboratory Medicine 異常値の出るメカニズム・12
赤血球浸透圧ぜい弱性試験
河合 忠
1
1自治医大臨床病理学
pp.130-133
発行日 1979年1月10日
Published Date 1979/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215737
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赤血球膜の構造と機能
赤血球は直径が約7-5μmの凹み円板状(discocyte)を示し,細胞内に多量のヘモグロビンを包含している.赤血球膜は7〜8nmの厚さで,図1に示すごとく,蛋白質50%,脂質40%,糖質10%より成る.赤血球膜の脂質は25%がコレステロール,残りが燐脂質で構成され二重層を形成し,主として血漿脂質に由来している.蛋白質および脂質の構成単位の間には孔がみられ,これらの構造の維持にCa++が必要である,最も外層にはシアール酸を含むムコ蛋白があり,最も内層には収縮性蛋白(Sprotein,spectrin)があって,円板状の維持に役立っている.円板状の形はガス交換に最も適した表面積/容積比を保ち,そのためにはATPを介してエネルギーの供給が必要である.
赤血球膜は半透膜のはたらきを有し,孔は陽性荷電を有し,陰イオンおよび水の細胞内への通過は容易である,しかし,陽イオンの通過にはエネルギーが必要であり,そのエネルギーは糖分解により得られ,主としてATPを介して供給される.
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