技術講座 病理
剖検介助・6—急速標本,肉眼標本の作り方
清水 一男
1
1東海大病院中検
pp.122-124
発行日 1977年2月1日
Published Date 1977/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201280
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1.急速標本の作り方
剖検中に,肉眼による観察だけでは病変部の診断を決めかねることがある.剖検後にパラフィン標本を作って調べてもよいが,剖検中に所見をとらなければならない時がある.その時には迅速に組織標本を作らなければならない.迅速に組織標本を作るには凍結切片を作製するのだが,凍結切片作製法には幾つかの方法があるが,代表的なのは次のような方法である.一つの方法は凍結剤として液化炭酸ガス(昇華点-78.5℃,緑色ボンベ入り)を用いて組織を凍結させて薄切片を作る方法,他の方法は低温庫内(-20℃〜-30℃)にミクロトーム全体を入れ,低温中で薄切片を作る方法であるが,どちらの方法にしても薄切から染色,封入まで15〜20分くらいで標本を作り上げなければならない.
低温庫内で薄切片を作る装置はクリオスタット(cryostat)の名で商品化され,数社から各々の特徴を備えた類似の機種が発売されている.検査室にも多く普及してきているので,クリオスタットを用いた標本作製法について記述する.
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