技術解説
病理標本の作り方(1)
佐野 量造
1
1国立がんセンター研究所第一病理
pp.835-839
発行日 1967年6月25日
Published Date 1967/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110570
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Ⅰ.はじめに
ここ数年間,胃癌の早期診断技術の進歩はめざましいものがあり,そのおかげでわれわれ,病理医は先人が経験し得なかった貴重な材料を検索する恩恵にあずかっている.
しかし,臨床が苦労を重ねて診断し,手術した材料も病理のうらづけがなければその価値は半減する.手術材料の扱い方や,病理標本の作製は勿論,病理医の責任においてなすべきものであるが,病理医の員数が限定されている現在,切除材料のすべてを一人の病理医にまかせてしまうことは無理であろう.
この点,臨床,とくに病院の胃癌グループの協力によって,それぞれの分担をきめ,一つの材料を処理していくことが望ましい.例えば,内科グループが写真をとり,外科グループが固定,切出しに協力する等である.
これから2回にわたって病理標本の作製という技術解説をする予定であるが,この項は臨床が協力していただきたいことである.
われわれの病院では実際,この項の迅速標本の作製を除き,切除胃の写真撮影から貼付け,固定までが外科側の”ノルマ”として仕事をしている.
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