マスターしよう基本操作
生化学検査における検体保存
坂野 重子
1
1社会保険中央総合病院臨床検査部
pp.936-940
発行日 1976年12月1日
Published Date 1976/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201237
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血液や尿成分の生化学的検査は,原則として検体採取直後に行うことが望ましい.しかし,(1)成分が不安定で変質しやすい,(2)多忙,特殊検査,他施設へ依頼するなどの理由で即刻検査ができない,(3)成績不審時の再検査や検査項目追加の必要に備えて,検査終了後の検体を取って置く,(4)管理血清や貴重な症例の検体を長期間にわたって保管するような場合には,試料を検体採取時,または試料作製時の状態に保存する技術が必要になる.そして具体的な保存法は検体採取法に始まり,(1)血球と血清(漿)との速やかな分離,(2)冷蔵,凍結,真空乾燥など低温保存,(3)空気,光の遮断,(4)外部挿入物阻止,(5)蒸発,容器の成分吸着防止,(6)防腐剤,分離阻止剤の添加,と数ある方法の中から,検体の種類,分析成分,分析方法に合わせて選び,そして正確に実施することが大切である.選択を誤ると,せっかくの処置が逆効果になることが少なくない.そのうえ,同じ方法でも個々の検体成分組成の違いによって安定性が異なることが多いので,保存処置の過信は禁物である.
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