技術講座 病理
検体の処理法・10—組織化学(3)脂質
鈴木 裕
1
1慶大病理学教室
pp.68-69
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200687
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脂質はタンパク質や炭水化物とともに生体の重要な構成成分で,脂肪組織中の中性脂肪のような貯蔵成分として存在し,生化学的に比較的簡単な構成を示すものと,タンパク質や糖質などと結合して脂質とともに細胞の構成成分の一部を成している複合脂質として存在する必須成分とがある.生体にとっては複合脂質が大変に重要なものであるが,組織化学的にこれを互いに分別して証明することは困難なことが多く,ときに全く不可能なこともある.このほかには脂質の分解によって生じた脂酸があり,特殊なものではホルモンとして重要な各種のステロイドホルモン類がある.
生化学的に分離同定された脂質類が組織化学的に同じように同定できないものがあることは,炭水化物の場合と同様に脂質の組織化学でもあてはまることである.
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