基礎から応用へ
分光計測
三上 智久
1
1北大・応用電気研究所
pp.20-23
発行日 1974年6月1日
Published Date 1974/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200473
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臨床化学検査では,物質の色を測定して定量分析しようとする分光分析法が広く行われている.これは,ほとんどすべての物質がそれぞれ固有の吸収スペクトルまたは放射スペクトルを持っているということに基づいている.水溶液は透明であるが,水の分子も実は紫外部と赤外部に吸収スペクトル帯を持っている.しかし可視部では,ほとんど吸収がないため透明に見えるのである.
教会の窓などにみられる美しいステンドグラスは,太陽光がガラス中に含まれる幅広い吸収スペクトル帯をもつ染料によって吸収され,吸収を受けない色の光だけが透過してきている.ステンドグラスの透過光量は,染料の濃度とガラスの厚さに反比例するが,光電比色計はこの理屈を用い,試料の透過光量を測定して濃度を算出しようとするものである.
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