ひとこと
辺地医療対策と検査技師
山中 學
1
1東大・中検
pp.10-11
発行日 1973年5月1日
Published Date 1973/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200133
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交通さえ便利なら,ホテルや遊技場などいわゆるレジャーランドとしての建物が並び建つであろう美しい海岸線に沿って,国鉄の終点から車で30分ばかり国道を南西へ走ると,入口約3,000の町がある.戦後近村の合併により町となったが,バスのほかは公共の交通機関はなく,それも過疎化による乗客の減少により一部路線が廃止されるというところである.ただ思いがけないことに,この町には戦前から県立の女学校があった.戦後男女共学の高等学校となり,何年か前,高校野球やバスケットで全国優勝を成し遂げたその高校に接して町立病院がある.
一般ベッド約50床,内科の外来患者が日に50-100名,内科担当の院長先生と,外科,産婦人科の先生が1人ずつの,こぢんまりとした病院である.臨床検査は,はじめは内科外来診察室の片すみで,検尿,血算程度が看護婦さんの手で行なわれていた程度であった.その後,検査を充実したいという院長さんの期待を担って,大学付属の衛生検査技師学校の第1回の卒業生のひとりが赴任してきた.彼が仕事を始めてしばらくして,火災により結核病棟を除いて病院は全焼した.
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