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はじめに
今回の企画は,2009年1月号(37巻1号)から続いている本誌の表紙シリーズ「超音波と病理の対比像」をもとに増刊号として再編集したものです.現在,超音波検査には多くの成書があり,基礎から最新の知見まで自由に選んで学ぶことができます.しかし,超音波検査時にCTやMRIなどの画像検査を参考にすることはあっても,実際に手術で摘出された肉眼像や病理像をみて超音波像の裏付けをとるという機会が乏しいと思っていました.そこでこの表紙シリーズでは,超音波と病理の共同のもと,毎号ごとに乳腺,甲状腺,心,腹部臓器などの手術症例をもとに,超音波像と同一症例の手術肉眼像,病理組織像および細胞像を掲載し,症例の解説を加えてきました.この表紙シリーズは思いのほか読者からの支持が得られ,当初は1年間の連載の予定でしたが,2度,3度と延長され,現在に至るまで6年にわたって続いています.
今回は,表紙での長年の経験をもとに,各症例の超音波・肉眼・病理・細胞像のさらなる充実を図り,さらに疾患の総論,癌取扱い規約を含めた診断や治療など関連の解説を加えましたが,各症例では写真に語ってもらうことを最も心がけました.症例は日常のありふれたものから稀なものまで79症例そろえました.そして同一症例での「超音波×病理 対比アトラス」というほとんど他書に類のない増刊号が完成しました.これにより,各症例を多面的に観察でき,同じ症例でも見方を変えてみると得られる情報が大きく増えることがわかります.
本増刊号で,超音波に携わるものと病理に携わるものの距離が縮まるのみでなく,お互いの連携や臨床各科とのカンファランスに役立つことを期待します.また臨床検査に携わるすべての皆様に本誌を気軽な読みものとして利用し,超音波診断学と病理形態学によりいっそう慣れ親しんでいただくことを希望いたします.
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