Laboratory Practice 〈微生物〉
抗IL-6抗体“アクテムラ®”投与中の感染症における注意点
中橋 澄江
1
,
亀田 秀人
1
1東邦大学医療センター大橋病院膠原病リウマチ科
pp.496-499
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104273
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はじめに
アクテムラ®〔トシリズマブ(tocilizumab,TCZ):中外製薬社〕は,インターロイキン6(interleukin-6,IL-6)と呼ばれる炎症性サイトカインの働きのみを抑制する,わが国で誕生した生物学的製剤である.
関節リウマチ(rheumatoid arthritis,RA)患者ではIL-6が多量に産生されている.大量のIL-6によって滑膜炎や骨破壊が起こり,肝臓で急性炎症蛋白〔C反応性蛋白質(C-reactive protein,CRP),血清アミロイドA蛋白など〕が誘導され,血中濃度が増加する.IL-6は膜型,あるいは可溶型のIL-6レセプターに結合し,それらが細胞膜でgp130と会合することで作用を発現する.アクテムラ®はIL-6レセプターに結合することで,IL-6とIL-6レセプターの結合を阻害し,IL-6作用の中和効果を発揮する.そのため,十分量のアクテムラ(R)の投与中はCRPなどの炎症マーカーが上昇せず,発熱や倦怠感なども著明に抑制するため,感染症の発現や悪化を見過ごす懸念が示されている.
本稿では,アクテムラ(R)を投与中の患者に発症する感染症の特徴と注意点について述べる.
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