Laboratory Practice 〈生化学〉
偽性高カリウム血症への注意
清宮 正徳
1
,
野村 文夫
2
1千葉大学医学部附属病院検査部
2千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学
pp.500-503
発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104275
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はじめに
血漿中カリウム(kalium,K)イオン濃度(以下,血中カリウム)の異常は筋肉の収縮や神経の情報伝達に影響を与え,特に高カリウム血症は心毒性に働くことから重大である.検体採取時の骨格筋などからのカリウムの放出や,検体採取後の血球などからのカリウムの逸脱に起因する血中カリウムの偽高値(以下,偽性高カリウム血症)が発生する場合がある.
血中カリウムの異常は重大であるので,誤ったパニック値の報告は検査室の信頼を失墜させる.検査室として,偽性高カリウム血症にはどのような原因があり,そしてどう対処すべきかを周知しておくことが重要であり,不審な高カリウム血症に遭遇した際には臨床側とともに原因の究明を行う必要がある.さもないと,偽性高カリウム血症の原因が検査室にある(測定エラー)とされかねない.偽性高カリウム血症の主な原因を表1に示す1~6).
本稿では,これらの原因の詳細と対処法について述べる.
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